テングニシのウミホウズキ
天狗辛螺
False fusus
Hemifusus ternatanus
撮影地:静岡県伊東市 水深15m 7月
  

テングニシやナガニシなどの巻貝が産み付けた卵嚢(卵が入るカプセル)は、昭和の時代に「うみ
ほおずき」という笛として、子供たちが遊ぶ玩具だったそうです。確かにこのタイプの卵嚢はセルロ
イド的な感触で丈夫です。乾燥すると縮むとは思われますが、口の中で湿らせて戻す感じなので
しょうか。昭和40年代生まれの男子には、お祭りの屋台で売っていたような薄い記憶しかありま
せん。
海底の流木に産卵していますが、硬い卵嚢部分も作りつつ、中に卵を産みつけ、ということなので
非常にゆっくりしたスピードです。動きはまったく感じられません。まわりに整然と卵嚢が並んでい
ますが、これほど産み付けるには何日もかかるでしょう。
後半は孵化寸前の海ほおずきで、卵嚢の先端に出入り口が開き、3ミリほどの小さなテングニシが
中に見えます。卵嚢内の子テングニシは孵化後から共食いをして大きくなり、外敵に耐える様な大き
さになった勝ち組が世間に出るそうです。