概要
撮影地: 静岡県沼津市 水深12メートル
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:1分17秒
- サイズ:375MB
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > キンメダイ目 > イットウダイ科 > イットウダイ属 > アヤメエビス
本州中部以南、西・中部太平洋、インド洋、紅海、地中海特徴・雑学
アヤメエビスは、紅白のストライプが特徴的なイットウダイ科の中でも、ひときわ目立つ紅白のストライプです。腹ビレや尻ビレ、尾ビレにもストライプがあります。
鰓蓋の上方(主鰓蓋骨)に後方へ伸びる2本の棘があり、鰓蓋の下方(前鰓蓋骨)には大きな棘が1本あります。
映像では鰓蓋を少し開けて捻るような行動をしましたが、捕食されそうになった際に体を捻ると、捕食者の口に刺さって襲うのを諦めさせる効果があるのではないかと考えられます。
【赤色光の吸収】
紅白のストライプでとても目立つようですが、太陽の光が降り注ぐ陸上と違い、海中での赤い色は深くなるほど減衰して黒くなります。
白の部分も水中では輝いて見えることはありません。映像のアヤメエビスは、照明を当てているので紅白に見えているだけです。
夜行性のアヤメエビスは、昼間は大きな岩の下などの暗がりで過ごし、夜になると外に出て活動するので、鮮やかな「紅白の魚」に見える機会は少ないでしょう。
【分断色】
また、コントラストのはっきりした模様は「Disruptive Coloration」(分断色・破壊的体色)と呼ばれ、捕食者に自分の輪郭をわかりにくくする効果があるとされます。
捕食者に見られた瞬間に、一瞬でも「ん?なんだ?」と考える隙を与えることで逃げることができます。
コントラストのはっきりしたDisruptive Colorationを持つ魚は、海底に近い場所で生活する魚に多いのが特徴です。
アオヤガラのように、夜間に寝る時だけ縞模様になる魚もいます。
参考動画:夜に縞模様になるアオヤガラ
参考動画:イットウダイの分断食
食・利用
アヤメエビスは美味しい魚として定評があります。ただし、まとまって漁獲できる魚ではないので市場に出ることは稀です。
多い時で数十尾が、ひとつの網で漁獲されるとう程度なので、地魚として地域で消費されるにとどまっていると思われます。
毒・危険性
有毒成分の報告、特定の寄生虫の情報はありません。
参考資料
- 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)BISMaL
▶ 見る - 原色魚類大図鑑 北降社
- Disruptive coloration and background pattern matching
(攪乱色彩と背景模様への擬態)
Nature(2005 434)
Innes C. Cuthill, Martin Stevens
▶ 読む - Disruptive colouration in reef fish: does matching the background reduce predation risk?
(サンゴ礁魚類における攪乱色彩:背景への一致は捕食リスクを低減するのか?)
Journal of Experimental Biology(2017)
Gareth A. Phillips, Ulrike E. Siebeck, Karen L. Cheney
▶ 読む - Disruptive coloration and behavior facilitate camouflage of blue-spotted cornetfish against complex coral reef bottoms
(攪乱色彩と行動が、複雑なサンゴ礁底におけるアオヤガラのカモフラージュを促進する)
Marine Ecology43
María Alejandra Castillo
▶ 読む - Water column use by reef fishes of different color patterns
(体色パターンの異なるサンゴ礁魚における水域利用の違い)
Neotropical Ichthyology20(2022)
Luísa E. F. dos Anjos
▶ 読む