若いブリ|ワカシの群れ

Seriola quinqueradiata Temminck & Schlegel, 1845

概要

撮影地: 静岡県伊東市 水深10メートル

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > アジ科 > ブリ属 > ブリ

北海道以南部から東シナ海までの太平洋、北海道北部から東シナ海までの日本海

特徴・雑学

脂の多い魚なことから「アブラ」が「ブラ」となり、「ブリ」と呼ばれるようになったという説(*1)があるほど、脂ののった冬のブリは古くから好まれていたようです。
基本的には暖かい海を好む魚ですが、黒潮海域を、親潮と混ざるような海域まで北上して回遊する習性があります。
ブリは成長に応じて呼び名が変わる「出世魚」として有名です。 本州南部から東シナ海で産卵が行われ、「モジャコ」と呼ばれる稚魚になり、流れ藻と共に北上します。 成長数るとともに、関東では30センチ前後の若魚を「ワカシ」、40センチ前後で「イナダ」、60センチを超えると「ワラサ」、そして80センチ以上で「ブリ」と呼ばれます。
地方によって呼び方は異なり、関西では「ツバス」「ハマチ」「メジロ」「ブリ」と呼び分けるなど、各地域で独自の文化があります。
養殖のブリのことを「ハマチ」と呼ぶことがありますが、関西で呼ぶハマチのサイズが出荷サイズだったことによる「代名詞」であり、養殖ブリの呼び名ではありません。

出世魚という習慣は、出世や成長を喜ぶ日本文化に根付いており、正月や祝いの席でもブリは縁起の良い魚として扱われてきました。
また、ブリは冬に脂がのって美味しくなることから「寒ブリ」として特に珍重され、富山の氷見などはその名産地として知られています。
若魚であるワカシやイナダの頃は回遊性が強く、群れを作って小魚を追いかける姿が観察されます。

ブリの養殖は昭和初期から行われるようになり、九州、四国で盛んです。 1970年代には天然のブリより養殖ブリの出荷量が上回るようになり、年間で15万トンにもなります。
天候に左右されることなく、安定した供給が可能になった養殖ブリでしたが、近年では種苗の確保や資源保護、飼料の価格高騰、水温の上昇による飼育環境の悪化など 様々な問題に直面しています。

参考動画:ヒラマサ

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食・利用

若いブリ(ワカシ)は脂が少なくさっぱりとした味わいで、刺身や塩焼きにされます。成長とともに脂がのり、照り焼きやブリ大根など料理法の幅も広がります。
また、養殖ブリ(ハマチ)は日本各地で盛んに生産され、重要な養殖魚種として定着しています。

毒・危険性

ブリやワカシ自体に毒はありません。ただし、青魚であるため鮮度が落ちるとヒスタミン食中毒の原因となる場合があり、取り扱いには注意が必要です。

参考資料

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