概要
エソ科・Synodontidae Gill, 1861
撮影地: 静岡県伊東市 水深8m 2023年2月・2021年5月
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:4分09秒
- サイズ:1.13GB (SAMPLE動画は1280☓720です)
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > ヒメ目 > エソ科
南日本、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島
特徴・雑学
エソ科の幼魚と思われる魚の水中映像です。
全長は30ミリほど、体は透明で向こう側が完全に透けており、カメラのファインダー越しでは映っていないように見えて見失うほどです。
体の側面には黒斑が並んでいます。大きな目と口は精悍な顔つきをしており、エソらしさがあるかと思います。
種名など、詳細は不明です。
エソ科の繁殖行動は三宅島で9月の観察例(*1)があるほか、相模湾北部での7月の卵稚仔採取分析(*2)、紀伊水道での夏に稚仔魚が多いという報告があります。(*3)
水温にもよりますが、孵化した仔魚は概ね2か月から3か月で全長40ミリに達するということです。
参考映像:アカエソ
食・利用
エソの仲間は水っぽく淡泊な肉質で小骨が非常に多いために、家庭での食用には不向きとされ、未加工の状態で流通することはありません。
その一方、エソ類は日本各地で古くから食用とされ、特に「すり身魚」として重要な地位を占めてきました。(*4)
江戸時代の本草学書『大和本草』(貝原益軒, 1709)(*5) にも「生臭みがあり、上等な魚とはいえない。病人には食用をすすめられない。
しかし、その肉をすりつぶしてカマボコにすると美味である。」と記され、古くから加工して利用する上品な白身魚として認識されていたことがわかります。
細く柔らかい骨を多く含むため刺身などの生食にはあまり向かず、すり潰して加工することで真価を発揮する魚です。
日本各地の伝統的な練り物――例えば九州の「さつま揚げ」、山口の「蒲鉾(かまぼこ)」、愛媛や広島の「じゃこ天」などはいずれもエソ類を主原料の一つとしています。(*6*7*8)
現代でも漁獲地の周辺では、エソを「ネリミ」「ネリゴ」などと呼び、地場加工のすり身や魚肉団子、つみれ汁、揚げ天などに広く利用され、
「エソは蒲鉾の原料の中でも最高級」(*9*10) とされています。
【地方名(地域)】*アカエソ以外のエソ科を含む
ヨソべ・タイコノバイ・オトコボラ(石川)*11、セエソ・セヨソ・セギス・ドンコ・ヨソ・オンノチュンバソ・フリイユ・イスイ(鹿児島)*12、
バカエソ(富山)、イモエソ(大阪)、トゥイーブ(沖縄)*13
毒・危険性
有毒腺や毒棘はありません。
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)
鹿児島大学総合研究博物館
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - *1 三宅島におけるエソ科魚類 Synodus ulae の産卵行動の観察
Zaiser, M. J. & Moyer, J. T. 著
Japanese Journal of Ichthyology, Vol.28 No.1 (1981), pp.95-98.
▶ 読む - *2 相模湾北西部における魚卵・稚仔魚の鉛直分布
大西 遼・中屋 慧 著
日本海洋生物研究所 年報2022,p69-76
▶ 読む - *3 紀伊水道およびその周辺海域におけるエソ科魚類の卵・稚仔の出現時期と分布域
堀木 信男 著
日本水産学会 58(6),1015-1019(1992)
▶ 読む - *4 蒲鉾今昔
牧田知江子
日本調理科学会誌(J. Cookery Sci. Jpn.) Vol.53,No.6,427~430(2020)
▶ 見る - *5 大和本草諸品図(下巻 P21)
中村学園大学 貝原益軒アーカイブ
▶ 見る - *6 焼抜き蒲鉾
萩市観光協会公式サイト
▶ 見る - *7 うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味
つけあげ(鹿児島県)
農林水産省
▶ 見る - *8 うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味
じゃこ天(愛媛県)
農林水産省
▶ 見る - *9 高級の原料「えそ」
株式会社博水
▶ 見る - *10 萩の焼き抜き蒲鉾
萩市観産業戦略部産業戦略室
▶ 見る - *11 石川県魚類方言集
石川県水産試験場(1985)
▶ 見る - *12 鹿児島県の地域別魚介藻類の方言集
鹿児島県水産技術開発センター(1988)
▶ 見る - *13 アカエソの地方名
大阪市中央卸売市場本場WEB
▶ 見る