エソ科の幼魚|透明な保護色

Synodus ulae

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概要

エソ科・Synodontidae Gill, 1861

撮影地: 静岡県伊東市 水深8m 2023年2月・2021年5月

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > ヒメ目 > エソ科

南日本、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島

特徴・雑学

エソ科の幼魚と思われる魚の水中映像です。 全長は30ミリほど、体は透明で向こう側が完全に透けており、カメラのファインダー越しでは映っていないように見えて見失うほどです。
体の側面には黒斑が並んでいます。大きな目と口は精悍な顔つきをしており、エソらしさがあるかと思います。 種名など、詳細は不明です。 エソ科の繁殖行動は三宅島で9月の観察例(*1)があるほか、相模湾北部での7月の卵稚仔採取分析(*2)、紀伊水道での夏に稚仔魚が多いという報告があります。(*3)
水温にもよりますが、孵化した仔魚は概ね2か月から3か月で全長40ミリに達するということです。

参考映像:アカエソ

食・利用

エソの仲間は水っぽく淡泊な肉質で小骨が非常に多いために、家庭での食用には不向きとされ、未加工の状態で流通することはありません。 その一方、エソ類は日本各地で古くから食用とされ、特に「すり身魚」として重要な地位を占めてきました。(*4)
江戸時代の本草学書『大和本草』(貝原益軒, 1709)(*5) にも「生臭みがあり、上等な魚とはいえない。病人には食用をすすめられない。 しかし、その肉をすりつぶしてカマボコにすると美味である。」と記され、古くから加工して利用する上品な白身魚として認識されていたことがわかります。

細く柔らかい骨を多く含むため刺身などの生食にはあまり向かず、すり潰して加工することで真価を発揮する魚です。 日本各地の伝統的な練り物――例えば九州の「さつま揚げ」、山口の「蒲鉾(かまぼこ)」、愛媛や広島の「じゃこ天」などはいずれもエソ類を主原料の一つとしています。(*6*7*8)
現代でも漁獲地の周辺では、エソを「ネリミ」「ネリゴ」などと呼び、地場加工のすり身や魚肉団子、つみれ汁、揚げ天などに広く利用され、 「エソは蒲鉾の原料の中でも最高級」(*9*10) とされています。

【地方名(地域)】*アカエソ以外のエソ科を含む
ヨソべ・タイコノバイ・オトコボラ(石川)*11、セエソ・セヨソ・セギス・ドンコ・ヨソ・オンノチュンバソ・フリイユ・イスイ(鹿児島)*12、 バカエソ(富山)、イモエソ(大阪)、トゥイーブ(沖縄)*13

毒・危険性

有毒腺や毒棘はありません。

参考資料

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