概要
ヒラマサ:Seriola aureovittata Temminck & Schlegel 1845
撮影地: 静岡県伊東市 水深10メートル 10月
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:2分51秒
- サイズ:825MB
- (SAMPLE動画は1280☓720.30pです)
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > アジ科 > ブリ属 > ヒラマサ
東北以南、黄海、カリフォルニア、オーストラリア。温暖な海域を好む。
近年、ヒラマサは北西太平洋・北東太平洋・南半球でそれぞれ遺伝的に分かれているとされ、日本を含む北西太平洋のヒラマサは、
学名「Seriola lalandi」を「Seriola aureovittata」とするべきとされています。
特徴・雑学
ブリと非常によく似ますが生息域は異なります。冷たい海でも生息するブリと違い、ヒラマサは暖かい海を好みます。
ヒラマサとブリは非常に似ています。
水中での観察では限界がありますが、体側の黄色い縦帯が鮮明で胸鰭が接している(ブリは接しない)、上顎後端の角が丸い(ブリは尖る)ことが識別のポイントになります。
また、ブリは大きな群れで回遊する傾向が強い魚ですが、ヒラマサは単独~小群で回遊する傾向があります。
性転換はしない「雌雄異体」の魚で、生後半年~1年(20センチ~25センチ)で性腺が分化し始め、雄は生後2年(全長80センチ)メスは3年(全長90センチ)で成熟すると考えられています。(*1*2)
旬は春〜初夏(4〜7月)とされ、産卵前に脂がのり身が締まります。
暖かい地域の魚のため、保冷・輸送が未発達だった時代には遠隔地へ広まりにくく、ブリの様に全国的に広がる魚とはなりませんでした。
そのため、ブリと似ていながら「出世魚」としての段階名は定着しませんでした。
【養殖と種苗】
日本では1970年代より、天然のヒラマサ稚魚(モジャコ)を採捕して育てる方式が主流です。(*5) 長崎・大分・鹿児島・高知など黒潮域が主要産地です。
人工ふ化からの養殖も行われていますが、仔魚期の生残や親魚の成熟制御など課題があり、商業的には研究段階と言えます。(*3*4*6)
【地方名】
ヒラス(九州・高知)、ヒラソ(島根)、ヒラゴ(九州の若魚)、コヒラ(山口の若魚)、マサ(関東)、シラマサ(東北南部)
【ヒラマサの特徴】
【ブリの特徴】
【参考動画:若いブリ】
食・利用
産卵期は4月~8月で、産卵前の春から初夏が旬であるとされています。(*8)
脂はブリより控えめで、筋肉質のしっかりした食感。刺身・握り・カルパッチョの評価が高く、春〜初夏は特に上質とされます。
その他、焼き物・照り焼き・しゃぶしゃぶ・みそ煮・酒蒸しなど和食の他、ポワレやオイル焼などの洋風料理にも幅広く合います。(*9)
市場では高級魚扱いで、条件によってはブリの2倍以上の相場になる例があります。
毒・危険性
有毒棘や毒腺はありません。
ブリ筋肉線虫(Philometroides seriolae)が寄生している場合がありますが、食べても健康被害はありません。
また、養殖のヒラマサにはブリ筋肉線虫は寄生することが無いので、天然物の証であるとも言われています。(*7)
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)
鹿児島大学総合研究博物館
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - 原色魚類大図鑑 北隆館 阿部宗明監修
- 日本の魚類 大日本国書株式会社 田中茂穂著
- 学研の図鑑LIVE魚 学研 本村浩之総監修
- *1 Assessment of yellowtail kingfish (Seriola lalandi lalandi) reproductive physiology, as a basis for aquaculture development
C. W. Poortenaar, S. H. Hooker, N. Sharp
Aquaculture(2001年号)201 P271-286
▶ 読む - *2 Sizes and ages in commercial landings with estimates of growth, mortality and yield per recruit of yellowtail kingfish (Seriola lalandi) from New South Wales, Australia
J.Stewart,D.J.Ferrell,B.vanderWalt,
Marine and Freshwater Research(2004)
▶ 読む - *3 ヒラマサ養殖の豆知識
近畿大学水産研究所
▶ 見る - *4 ブリ概況
国立研究開発法人水産研究・教育機構
▶ 読む - *5 しいら漬け漁業実態およびヒラマサ漁獲変動と海水温との関係
福岡県水産海洋技術センター研究報告書 17号(2007)
▶ 読む - *6 ヒラマサの産地情報・流通解説(人口種苗養殖・大分ヒラマサ)
プライドフィッシュ
▶ 見る - *7 ブリ筋肉線虫 Philometroides seriolae
東京大学大学院農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻
▶ 見る - *8 ガチ刺身(黄金ヒラマサ)
長崎市 農林水産部
▶ 見る - *9 ヒラマサ旬ばなし
JF-NET
▶ 見る