ヒラスズキ|若いヒラスズキ

Lateolabrax latus Katayama, 1957

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概要

ヒラスズキ・Lateolabrax latus Katayama, 1957

撮影地: 静岡県伊東市 水深1m

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ科 > スズキ属 > ヒラスズキ

能登半島以南・茨木県以南から鹿児島まで。*1

特徴・雑学

体高がやや高く、「平たい」体形と黒味を帯びる各鰭が特徴。よく似たスズキ(Lateolabrax japonicus)に比べて沖合に面した荒磯を好む傾向が強いとされます。

映像は体長約15cmの若魚で、湾内の波打ち際から5メートル、水深は2メートルというごく浅い場所に現れたものです。 様々な魚種が群れる中、ヒラスズキにはギンガメアジが寄り添うように泳ぐ様子が見られました。 スズキは内湾、汽水域、河口域など、塩分濃度の低い海域に生息することで知られますが、仔稚魚も同様の環境で過ごします。 対照的にヒラスズキの仔稚魚は内湾や沿岸の砕波帯など、極めて浅い海域で生息することが確認されており、塩分濃度の低い河口域は主生育場ではないと考えられています。*2

参考動画:ヒラスズキ



【食性】
食性は肉食性で、小魚や甲殻類を主に捕食します。仔稚魚の頃は周囲の他種仔魚や橈脚類などの動物性プランクトンを捕食します。*3 捕食行動は、水温や潮の干満による影響を受けるので一概には言えないと考えられていますが、夏の高水温時には昼間よりも夜間に行う可能性が高いという報告もあります。*4

【繁殖】
西九州沿岸で冬〜早春(概ね1〜3月)に産卵がピークとされています。 性成熟は2歳から始まり、体長は雌で約38センチ、雄で36センチ、3歳で概ね性成熟し、メスの方がやや成長が早いと考えられています。 ヒラスズキは雌雄異体で、性転換魚であるという証拠は示されていません。
最大の年齢は雌雄とも11歳。*5

【釣り】
ヒラスズキは、磯釣りにおける憧れのターゲットとして知られています。 外洋の荒磯の波の中で狙うスタイルは危険と隣り合わせですが、その迫力と達成感から「磯の王者」と呼ばれ、多くのアングラーにとって特別な存在です。
力強い"引き味"を持つうえ、流通量が少なく食味にも優れることから、「釣って良し・食べて良し」の魚としてゲームフィッシングの世界で一目置かれています。*6

食・利用

上質な白身で、刺身・皮霜造り・炙り・昆布締め・塩焼き・ポワレ・フライなど多用途で、「フグにも負けない」と評価されることもあります。*7
関東より関西での需要が多く、ヒラスズキを「滅多に入らない特別な魚」としている料亭やレストランが多くあります。*8
流通量は少なく一般への流通は希少です。汽水域に棲息しないため臭みが少ないと評価され、同サイズのマルスズキより高値となる傾向があります。 安定した供給が無いことも「特別な魚」である要因とも言えます。

毒・危険性

毒性は報告されていません。背ビレの棘は非常に鋭く、注意が必要です。

参考資料

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