ナマコの触手|海底を集める

Holothuria (Stauropora) pervicax

概要

撮影地: 静岡県伊東市 沖縄県国頭郡

分類・分布

棘皮動物門 > ナマコ綱 > 楯手目 > シカクナマコ科 > マナマコ属 > マナマコ

沖縄県を除く日本の沿岸

棘皮動物門 > ナマコ綱 > 楯手目 > クロナマコ科 > クロナマコ属 > ニセクロナマコ

伊豆半島以南、酢sリランカ、フィリピン、オーストラリア、タヒチ、ニューカレドニア、中国、台湾

棘皮動物門 > ナマコ綱 > 楯手目 > クロナマコ科 > Pearsonothuria属 > クロエリナマコ

沖縄、紅海、モルジブ、オーストラリア、ニューギニア、インドネシア、フィリピン、中国、台湾

特徴・雑学

楯手目のナマコは、海底を移動しながら口の周囲にある触手を使って、砂や泥を集めて食べます。 砂の中に含まれる海藻の破片や動物の死骸、珪藻など様々な有機物を腸から吸収し、残った砂や泥を糞として排出します。ナマコの排出した糞は、食べる前よりも綺麗な状態の砂泥になって 排出されていると言えます。 砂や泥の中の有機物を分解、吸収するのには時間がかかるため、ナマコの腸は他の動物と比べると、比較的長めです。
また、ナマコは皮膚や呼吸樹(呼吸器官)などから、海水中の溶存有機物(DOM)の取り込みができると考えられています。

食・利用

ナマコが持つサポニンの量には種類によって差があり、多い種類は食用にしません。
マナマコやキンコのサポニンはごく微量で、食用として利用されます。生食では、薄切りにして酢で和えた「ナマコ酢」や腸を塩辛にした「コノワタ」が有名です。
乾燥したナマコを水で戻して煮物やスープにしたものは、中華料理で利用されます。

ナマコに含まれるサポニンを利用して、高齢者の口腔内を殺菌するための口腔ケア製品も研究されています。 その他にも、ナマコを利用した糖尿病や血糖値対策、抗がん薬、黄色ブドウ球菌やインフルエンザなどへの抗菌作用など、医薬品の研究や、 肌の保湿、再生、しわ改善などのスキンケア用品など、様々な研究が行われています。

毒・危険性

楯手目のナマコにはキュビエ器官のある種類があります。マナマコにはありませんが、クロナマコ科のクロエリナマコ、ニセクロナマコにはキュビエ器官があります。
また、サポニン性毒を持ちますが、種類や生息地域によって差があり、マナマコはごく微量で、クロエリナマコ、ニセクロナマコは多いとされています。

参考資料

  • 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)BISMaL ▶ 見る
  • ナマコガイドブック 阪急コミュニケーションズ
  • 口腔保健用ナマコ加工食品の開発 化学と生物 Vol. 57(2019)
    公益財団法人岩手生物工学研究センター 岩手医科大学 矢野 明 岸 光男 ▶ 読む
  • The uptake of dissolved organic material by the sea cucumber Parastichopus californicus (Stimpson) and its potential role in visceral regeneration
    Journal of Experimental Marine Biology and Ecology(2015)
    CeciliaJ.Brothers R.W.Lee J.R.Nestler ▶ 読む
  • Sophistication in a seemingly simple creature: a review of wild holothurian nutrition in marine ecosystems
    Biological Reviews of the Cambridge Philosophical Society(2022)
    Joséphine Pierrat ▶ 読む