ネンブツダイ|念仏鯛

Ostorhinchus semilineatus

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概要

撮影地: 静岡県伊東市、河津町

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > テンジクダイ科 > ネンブツダイ属 > ネンブツダイ

日本近海および朝鮮半島西岸を中心に、台湾・中国東南部での記録あり。東北〜北海道の太平洋側および日本海側の能登半島より北では見られない。

特徴・雑学

生息環境

沿岸の岩場や藻場、港内で大きな群れを作る。水温が高い5〜11月は浅場で群れ、冬はやや沖の10m以深に下がるため港内では見かけにくくなります。 近縁のクロホシイシモチと混泳することがよくあります。
2017年以降の黒潮大蛇行により、伊豆半島海域で沢山見られたネンブツダイがいなくなり、クロホシイシモチに置き換わる現象が起きました。
2025年4月に黒潮大蛇行が終息すると、夏季に30度近くあった表層水温は26度ほどとなると共に、ネンブツダイが再び見られるようになりました(2025年9月記載)。

繁殖行動

通常は大きな群れを形成して中層を浮遊していますが、夏の繁殖時期になると中層から海底近くに移動したペアになります。 産卵直前は雄があくびをするように口を広げる行動が多くなると共に、メスの産卵孔付近を刺激するような行動をするようになります。
産卵の瞬間、オスはメスの横に並んだ状態で放精を行い、直後にメスの後ろに回り込んで受精した卵塊を口に咥え、口内保育を始めます。
オスが卵を咥えた直後は、メスはオスが卵を咥えたのを確認するかのように周囲を回る行動が見られることがあります。

孵化までの1週間程度の間、オスは咥えた卵を出すことなく、一切摂餌をせずに過ごします。孵化した仔魚は雄の口から離れますが、その後は次のメスと繁殖行動を行い、卵を口に咥えます。
休むことなくシーズンに何度も口内保育を行うため、次第にオスは弱っていきますが、耐えられない場合は自分のDNAを守るために咥えた卵を食べると考えられています。

ネンブツダイに限らず、テンジクダイ科はオスが口内保育することで知られいます

近縁種のクロホシイシモチの産卵シーン

食・利用

特に流通はありません
地域によっては唐揚げや天ぷらで利用されます。また、処理は面倒ながら刺身やなめろう、薩摩揚げにも利用されることがあります。
頭部の耳石は硬くて口当たりが悪いので頭は落とすのが基本です。
磯釣りで連れてしまう魚というイメージですが、定置網にまとまって水揚げされる例があります。

毒・危険性

毒などの危険性はありません。

参考資料

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