シラコダイ|粘膜質を摂餌

Chaetodon nippon

概要

シラコダイ:Chaetodon nippon Steindachner,1883

撮影地:静岡県伊東市 水深20m

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > チョウチョウウオ科 > チョウチョウウオ属 > シラコダイ

千葉県以南、伊豆半島、朝鮮半島、フィリピン。水深10~20mの岩礁域。

特徴・雑学

【食性と行動範囲】 シラコダイは潮通しの良い岩礁域に生息するチョウチョウウオの仲間で、普段は中層を群れで泳いでいる姿がよく見られます。 しかし、主として食べるのは浮遊性のプランクトンではなく、海底の甲殻類やゴカイ類などの無脊椎動物であり、岩肌の付着藻類をついばむこともある雑食性です(*1)。 中層での群れ行動が目立つ魚ですが、摂餌時は底面を広く探索するため、行動範囲は水平・垂直ともに大きい魚といえます。
本映像は海底に沈んだ透明な粘膜状(寒天状)物質を夢中で食べる様子で、雑食性らしい柔軟な食性であることがわかります。

【クリーニング行動】
シラコダイはマンボウなどの大型回遊魚の外部寄生虫をついばむクリーニング行動を見せることがあります(*2)。
これは、寄生虫がシラコダイにとって「普段食べている小型動物と同じカテゴリ」であるためで、栄養価の高い餌として好んで利用していると考えられています。
このように、海底の小動物から大型魚の寄生虫まで、多様な餌資源を求めて広い範囲で活動する柔軟性がシラコダイの特徴です。

【繁殖行動】 シラコダイは、水温が23℃以上になると繁殖行動を起こすとされ、特定の季節に限定されない長い産卵期をもちます。 実験水槽での観察では、3月・8月・9月・10月と複数の季節にわたって産卵が確認されており、夜間の初めに「複数の雄と1匹の雌」が集まりグループ産卵を行います(*3)。
このような繁殖様式は、水温条件さえ満たされれば季節に関係なく産卵が可能であることを示しており、自然界でも春から秋の長期にわたって繁殖します。

参考動画:クリーニング時にまっ黒に体色変化するシラコダイ

食・利用

シラコダイは釣りの外道とされ、まとまって漁獲できることもないので食用として流通していません。
食用にならない訳ではありませんが、季節や棲息環境によっては臭みがあります。

毒・危険性

シラコダイに毒性はありません。

参考資料

← トップページに戻る
お問い合わせはこちら