概要
ショウジンガニ:Guinusia dentipes (De Haan, 1835)
撮影地:静岡県伊東市
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:1分6秒
- サイズ:303MB
- (SAMPLE動画は1280☓720です)
分類・分布
節足動物門 > 軟甲綱 > 十脚目 > ショウジンガニ科 > ショウジンガニ属 > ショウジンガニ
岩手県以南、韓国、台湾、南太平洋沿岸の磯や転石。
特徴・雑学
成体のショウジンガニは、丸みを帯びた四角形の甲殻をしており、凹凸のある表面には硬い毛が生えています。
生体の色は褐色と赤が混ざり、海藻の生えた岩礁に馴染むような色合いをしています。
映像の個体は多くの脚が欠損していますが、切断面には再生芽ができ始めています。前回の脱皮から時間が経っているものとみられ、白い付着物に覆われています。
【自切面の位置と仕組み】
カニの脚は 7 つの節から構成されていますが、そのうち基部の節から2番目節に“自切面”になっています。
ここはあらかじめ弱く作られた「切れやすい節」で、接合面は中央に小さな穴の開いた膜状になっており、普段は神経や体液のやりとりは小穴から行うことで、
自切した際に体液の流出などのダメージが少ないようになっています。
自切できる関節の周囲にはうっすらと筋があり、自切面は目視することができます(*1)。
【防衛自切と逃避自切】
このショウジンガニは2本のハサミ脚を含む4本の脚が欠落しています。
これは、捕食者に喰いちぎられたのでも、病気でもなく「自分で切り落とした」ものです。
自切には大きく2種類あります。
捕食者が脚に喰いついたときに逃れるために切り落とす「逃避自切」と、脚を切り離すことで捕食者の注意をそらして逃げる「防衛自切」です。
防衛自切はトカゲの尻尾切りと似ています(*1)。
【再生芽と新しい脚】
自切面は自分の意思で脚を切り落とすことができる器官であり、逆に“自切面以外”で脚が切断された場合は再生できません(*2)。
自切面で脚が切り離された場合は、内部に小さな新しい脚が折りたたまれるようにして成長し「再生芽」を形成します。
映像の自切面は大きく盛り上がり始めて再生芽となっています。
内部に新しい脚ができ始めている状態ですが、新たな脚は次の脱皮の際に初めて外に現れます。
脱皮後の新しい脚はとても小さなものですが、その後数回の脱皮を繰り返すことで徐々に元のサイズへ近づきます(*3)。
映像のショウジンガニも、次の脱皮で小さいながらも新しい脚を取り戻すはずです。
食・利用
ショウジンガニは「海辺のみそ汁のカニ」として知られ、沿岸部の民宿や家庭料理で古くから親しまれてきました。
ただし流通量は極めて少なく、市場で見かけることはほとんどありません。
味は濃厚で、甲殻類らしい旨味が強く、驚くほどのうま味があります。
参考動画:ショウジンガニ
参考動画:フグに乗るショウジンガニのメガロパ幼生
毒・危険性
毒の情報はありません。
『フクロムシ』( Sacculinidae)が寄生している場合がありますが、ショウジンガニ自体の味の変化や毒化はありません。
フクロムシが寄生している場合、"カニのふんどし"と呼ばれる腹部に黄色い袋状の物体がありますが、それがフクロムシの卵巣で毒性はありません。
フクロムシは甲殻類であり食べることも可能ですが、気になる場合は除去すれば問題ありません。
参考動画:ショウジンガニに寄生するフクロムシ