ウルメイワシ|群れの戦略

Etrumeus teres

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概要

撮影地: 静岡県伊東市

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > ニシン目 > ウルメイワシ科(Dussumieriidae) > ウルメイワシ属 > ウルメイワシ

北海道以南、太平洋、インド洋、大西洋

特徴・雑学

ウルメイワシはマイワシとよく似ていますが、上顎に接するほどに眼が大きいのが特徴です。潤んだ目に見えることから「潤目」と名付けられています。

マイワシやカタクチイワシと比べると棲息範囲が狭く、水深もやや深いことから、漁獲量はマイワシに比べて10分の1ほどしかありません。
群れで行動する魚ですが「群れ」は捕食者から逃れるための様々な効果があります。集まって行動することで大きな影となり、大きな生物に見せる「幻影効果」。 それでも襲われた際には、急激なスピードで四方八方へ飛び散るように逃げることで、捕食者の狙いを定めづらくする「混乱効果」があります。
映像では、カンパチに襲いかかられた瞬間に、飛び散るように逃げている様子がみられます。 カンパチは統率の取れた攻撃ができず、単発的に襲いかかっており、捕食できているようには見えません。

産卵期は4月から6月

【漢字】潤目鰯・【英名】Round herring
【地方名】ルメ(境港)、ウルメ(三重)、ドーコ(金沢)、ドッコ(輪島)、オロメ(下北)、ノドイワシ(八戸)

関連動画:「カタクチイワシの群れ」

食・利用

鰯は古くから食べられてきた魚です。平安朝の貴族が密かに食べたという伝承がありますが、当時は、庶民の食べる「賤しい(いやしい)魚」とされ、 宮中では「むらさき」と、美しく表現していたようです。
「いわし」の由来は諸説ありますが、「いやしい」が「いわし」になったという説や、すぐに死んでしまい、傷みも早いことから「弱し(よわし)」が「いわし」になったという説。 神事で使われる鰯の串刺しを表す古語「斎(いは)串(し)」から「いわし」となった説などがあります。

傷みの早い魚なので、当時から干物として扱われきたようですが、現在でも変わらず主流は干物です。 ウルメイワシはマイワシと比べると脂が少なく、特に丸干しや目刺し(めざし)としての加工に最も適しているとされており、専門の職人も存在します。
保冷技術の発達した現在では、生食のできるウルメイワシも鮮魚店に並ぶようになっています。 脂が多すぎないことで、青魚のうま味と肉質な食感を楽しむことができると高く評価されます。

毒・危険性

生食の場合はアニサキスへの注意が必要です。
イワシ類へのアニサキスの寄生は少ないものの、マイワシでは15センチ以上の大きな個体から見つかる率が高いという報告があります。

参考資料

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