概要
撮影地: 静岡県伊東市 水深5m 10月初旬
- コーデック:H.264 / MPEG-4 AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:2分7秒
- サイズ:601MB
- (SAMPLE動画は1280☓720です)
分類・分布
軟体動物門 > 腹足綱 > 吸腔目 > ヤツシロガイ科 > ヤツシロガイ属 > ヤツシロガイ
北海道南部以南、本州、四国、九州、朝鮮半島 水深10m~200mの細砂底
特徴・雑学
不知火海とも呼ばれる九州西部の「八代海」で多く産することから「ヤツシロガイ」と命名されたといわれます(*1)。
殻径160ミリになる肉食性の巻貝で蓋はありません。
細砂底に棲み、普段は砂に潜っているためにダイバーでもあまり目にしない巻貝ですが、稀に大量発生して漁獲されることがあります(*2.*6)。
産卵期は秋から春とされています。 卵嚢は厚さ4ミリ前後のゼラチン質のシート状で、硬めのシリコンゴムの様な感触があります。
シートには小部屋が規則的に並び、各部屋にピンク色の卵カプセルが複数産み付けられます。
卵カプセルにはおよそ50個の受精卵が入るので、卵嚢全体では数万の受精卵です。
卵カプセル内の受精卵は、胚 → トロコフォア → ベリジャーへと小部屋の中で育ちます。
温度条件にもよりますが、概ね約1か月で浮遊性のベリジャー幼生となって卵嚢から海へと旅立ちます。
小部屋の中で共食い(同胞食)は起こらず、胚は母貝由来のゼラチン質基質から栄養を得て育つと考えられています。
同属の Tonna galea では、約39.5cmの卵ロゼットに数千のカプセルが含まれ、各カプセル内で約100胚が34日で孵化した記録があります(*3)。
参考動画:ボウシュウボラの産卵
参考動画:テングニシの産卵
食・利用
巻貝本体は、主に刺身で利用することが多く、とても美味であるとされています。ただし一般的に流通することはなく、寿司店や料亭などの専門的利用に限られています(*1)。
また、中華料理の食材とされるという資料があります*2。
貝殻は置物や貝細工などに利用されます。おもちゃのラッパに使われたという記述があります*5。
卵嚢は「ウミホオズキ」のように利用されるという資料は確認されていません。
毒・危険性
巻貝本体の身に毒性はありませんが、他の肉食性巻貝同様に「内臓には毒性があるかもしれないので除去する」という市場の記述があります。
ヌメリの多い貝なので、入念なヌメリ取り下処理が必要になります(*5)
卵嚢に毒性の報告はありません。ただしゼラチン質のシートは破損しやすいので直接の接触は控えましょう。
参考資料
- JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - 日本近海産貝類図鑑・東海大学出版・奥谷喬司編著
- 原色動物大図鑑Ⅲ・北隆館・岡田要他協著 *5
- *1)「数の付く食べ物」(8)名前に数字の八がつく食べ物(その6)(2021)P140
同志社女子大学生活科学 Vol.55
▶ 見る - *2)水産研究本部シート状卵嚢の観察例
北海道立総合研究機構
▶ 見る - *3)Encapsulated development of the marine gastropod Tonna galea (Linnaeus, 1758) in captivity
(リュウテンサザエ Tonna galea の飼育下での卵カプセル内発生過程)
Chrisa K. Doxa, Aspasia Sterioti, Maroudio Kentouri, Pascal Divanach
Journal of Biological Research -Thessaloniki 16: 304-307, 2011
▶ 見る - *4)ヤツシロガイの大量発生・観察記録
神奈川県水産技術センター
▶ 見る - *5)ヤツシロガイ
小田原市場公式ブログ(2011)
▶ 見る